2017.05.24
百聞不如一見 美食の地・奈良との出会い
五條新町は桜も素敵でした。
古い町並みによく調和した桜の姿はどこか見覚えのある懐かしさを感じさせます。「やなせ屋」のすぐ隣にも、立派なしだれ桜がちょうど見頃を迎え、夜のライトアップがされています。
今日の夕食はやなせ屋のはす向かいに建つ和食レストラン五條 源兵衛さんにて。
築250年の古民家を改装し、料理長渾身のお料理を当時の漆器でいただくことができます。
五條で採れる新鮮な野菜、季節の山の幸を使った素材本来の味を感じる優しい味つけの品々。香り、食感、色、全てがみずみずしく調和します。特に希少な生の白きくらげや、この時期だけの筍など、ここでしか味わえないものをふんだんに使用されています。料理長のエスプリが効いた夜のコースは、まず体のリセットのための食前酢の一杯から始まります。
ゆっくりと眠った次の朝、自然と目が覚めます。車通りが少ないため宿の中は静かです。昨晩は気がつかなかった離れの縁側と雪見障子。向こうに見える椿を眺めながら、朝の時間はゆっくりと流れてゆきます。
昨夜に引き続き、朝ごはんは源兵衛さんにご用意していただいた奈良の茶粥で。体はぽかぽかと温まります。
朝ごはんをいただいたあとは、五條新町の町並を探検しに出かけました。
奈良五條新町には現存する民家としては日本最古の栗山家住宅(1607年)を始めとした多くの古民家残り、代々住み手によって大切にされてきたことをうかがわせます。
ただ町並みを保存しているのではなく、五條新町にはそれを大切にしながら生きる人々の暮らしがあります。古くなったから壊し、便利な新しい街を築くことにすっかり慣れてしまった今の時代。こうした流れに歯止めをかけるかのような「やなせ屋」や「五條 源兵衛」のもつ強い魅力は文化や国の違いを超えて理解されて然るべきでしょう。五條新町を歩きながらふと、私たちが受け継いだ宝物を、これからも大切に守っていくためのヒントを得たように感じたのでした。
さて、そろそろ旅も終わり…と帰りかけた時、オーナーの北山さんから素敵なお誘いが。
「ちょっとこれから帰る前に、ここらで一番美味しい豆腐食べて行かへんか?」
北山さんのお誘いで向かったのは、五條新町から少し離れた「伊勢屋豆腐店」。
豆腐職人の西村富士男さんが丹精込めて毎日手作りする豆腐は、種類も豊富。木綿、絹、黒胡麻、嵯峨…どれも何もつけないままで美味しい、豆本来の味をさらに引き立てた素晴らしい味でした。