2016.03.24
九十九里の古民家で民泊&収穫体験!
旅行に行くときは、メジャーな観光スポットよりも地方派!という留学生のイリナさん。千葉県九十九里浜近くの民泊「Farm Campus(ファームキャンパス) 」での友人セヒさんとの宿泊体験をレポートしてくれました。 どうぞお楽しみください!
モニタープロフィール
イリナ・シュミット (ドイツからの留学生)
「外国へ旅行に行くときは、メジャーな観光スポットは避けがちで、すてきで印象深い文化を体験したいので、地方に訪れることが多いです。「STAY JAPAN(旧とまりーな)」を見つけたときは、なんてぴったりなサービスだろうと思いました」
旅立ち
友達と東京駅から出発して、JRで千葉へ向かいました。JRって速いですね。一時間ちょうどで到着しました!
電車の窓から、キラキラした高層ビル街がどんどん暗闇の中に消えていくのを見て、東京から田舎に向かってるんだな、と実感しました。
やっと着いた駅は真っ暗闇… ではなく、まちの中心部の明かりと小さな駅前商店街が、私たちを歓迎してくれました。売店で夕飯のための買い物をして、いよいよ今晩宿泊する目的地へ!
まさか休日ダイヤとは思いも寄らず、終電のバスを逃してしまったのはショック… 仕方がないよね、と二人でタクシーに乗りました。
やっと着いた今夜の宿は、広い田んぼの中の一軒家でした。周りにも民家はありましたが、ほとんどが田んぼ。日も暮れかけのこのロケーション…寂しい田舎の古民家、ほとんど人もおらず、二人の女の子が暗闇に囲まれて… カンペキに、日本のクラシカルなホラームービー!
探検
タクシーが行ってしまったので、暖を求めてお家に入ってみることにしました。はじめは、誰も居ないし電気もついていなかったので、大丈夫かな?と疑うような気持ち。スマホのライトで照らして、やっと部屋の鍵を見つけました。
けれど、部屋に入ってライトを付けた途端、あったかくて居心地の良い雰囲気の部屋だと分かりました!(あたたかい雰囲気ではあったけど、気温はけっこう寒かったです。まず和室にヒーターをみつけて、暖かくしました)
いい雰囲気のカフェ
ともかく、荷物を置いて探検開始。宿の外見と中身のギャップが大きすぎて、自分たちがどこに居るのか、忘れてしまいそうでした。
玄関を通ったら目の前に小さなカフェがありました!オーナーさんが、たまの週末や休日に、村の人や忙しい東京から来た友人のためにオープンしているようです。
シンプルかつ洗練されたヴィンテージデザインで手作りのフロントデスクや、自家製シロップ、ジャムなどが置かれた小さな売り場があり、お客さんが座れるような古い椅子や机が置いてありました。裏には、オーナーさんコレクションの雑誌と本でいっぱいの本棚もありました。
いろいろこだわりのある小物
こだわりの感じられる小物がたくさんあって、部屋には、招き入れられた人みんながコーヒーや紅茶を片手に座ってくつろぎ、本棚の雑誌をぱらぱらめくりたくなるような、居心地のよい空間がつくりだされていました。
カフェの反対側には、寝室に使える2部屋の和室への襖がありました。これもすてき!
旅館や普通の日本のホテルと比べたらとても個性的な部屋で、本当に昔から人が住んでいるような雰囲気を感じました。
2つの和室にも、装飾的な小物や棚があって、まるでおばあちゃん家に泊まるみたい。
畳!いい感じ〜
遅くなってきてお腹が空いたので、そろそろごはんを作ることに。でも、あれ?キッチンが登場してませんでしたよね?キッチンはどこ?
私たちが入った母屋の左側には、どう考えてもほかに部屋はないので、別棟にキッチンがあるのかな?と考え、暗いなか、探検を始めてみました。見つかったのは、シャワーとお化粧室、倉庫、空のうさぎ小屋、入り口がなかなか見つからない謎の建物。
お腹が空いて、少し怖くもなったので、とうとう、オーナーさんに助けを求めました。やっぱりあの謎の建物がキッチンでした!巨大な金属の正面が入り口だったなんて。分かりませんよね?
早速キッチンで料理を!(カップラーメンですけど)
あとは暖炉と雪があれば完璧
夕飯の支度を整え、気持よく暖まった母屋の和室へ。こたつに入り、座布団に座って部屋を見回していると、お家に居るような気持ちになりました。食事の後は、いい匂いのする畳の床で、お喋りをしながらくつろぎました。外は寒くて真っ暗だけれど、暖かい部屋の中で話していると時間はあっという間でした。
探検、そしておやすみなさい
遅かったけれど、寝る前にもう一回外を探検してみようと決めました。こんな真夜中に?原っぱ以外に何もない田舎で?
そう。いつでも、どこでも、日本で巡りあうことが出来るもの。コンビニを求めて!
コンビニにたどり着くには、ちょっと時間がかかりました。田んぼ、民家、小ちゃい神社のそばを通って、すれ違ったのは車だけ。コンビニへの道が、ここまでハードルが高いのは初めてでした。
和室に戻って、そろそろ寝ることにしました。布団を広げ、ヒーターをつけ、暖かくして。長い一日が終わり、気持ちいい布団にくるまって、日本の古民家での夜、ぐっすりと眠りにつきました。
二日目 収穫体験の日
次の日は収穫体験。早起きして朝ごはんを食べ、さっそくお出かけしました。田舎出身の自分にとっては目新しいものではないのですが、都会育ちの友達がとても楽しみにしていたので、やってみようということに!
朝ごはんのあと、収穫体験の農家の方が来るまで少し時間があったので、日の光のもとで、ゆっくり家のまわりを見ることができました。夜のこわいような田んぼと違って、昼間はすごく素敵な風景が広がっていました。寒い冬の朝でしたが、暖かいお家のなか、外が見えるように障子を開け、こたつに座っているのはいいものでした。
こうやって家から眺めていると、ありありと夏の帰省のイメージを浮かべることができます。そう、日本の田舎を描いた、たくさんのアニメが思い浮かんだんです。そよ風で爽やかな音色を奏でる風鈴のもと、明るい林や森を眺めながら、子どもが縁側に座ってスイカを食べている暑い夏。夏には、この場所がそんな風になるんでしょうね。
ガラス張りの扉を開ければ、屋内と屋外を自由に行き来が出来るようになっていて、カフェに来ていた人たちとも楽しくおしゃべりできました。歩ける距離に海があるので、夏になったら海水浴とサーフィン帰りに、ここで一休みできるそう。最高!
農家のおじさんが、ちっちゃくて可愛い息子さんを連れ、トラックで到着しました(男の子は、私たちに対してはもじもじしていたけれど、終始、楽しそうに家やカフェの周りを走り回っていました)。少しおしゃべりした後、農作業用の靴と道具を持ってきてくれて、すぐ近くにある田んぼ(まさに昨日通ったところ!)に連れていってもらいました。
おじさんは「今の季節はあんまり収穫できないんだよねー」と言いながら畑を見せてくれました。実はおじさんは畑だけでなく、小さな養蜂場や果樹園まで持っているとのこと。いいな〜!
採りたて採りたて♪
おじさんは、自分の畑が野菜を育てるのにいかに最高か、語ってくれました。驚いたことに、おじさんの野菜たちは普通のキャベツやカブだけではなかったのです!あまり普通ではない野菜…例えば色鮮やかなにんじんや、紫色のカブなどを育てることにしているのだと教えてくれました。
できた野菜は、地元のカフェやレストランなどに卸しているのだそうです。厳選された上質な素材を使いたいとのことで、たくさんのお客さんがついているみたいですよ。
本日の収穫!
その後、宿に戻って、おじさんは自家製のシソゆず茶と、ごま味噌ディップの野菜盛りを出してくれました。これがすっごく美味しくて。にんじんもカブも、いつも食べるものよりも甘みがあって美味しかったです。
美味しいゆず茶〜
出してくれた野菜は、ちょうどさっき採ったばかりの新鮮なものだったんですよー!
もぐもぐ〜おいしい〜
バイバイ、またいつか
本当に親切なおじさんで、ちょうど用事があるから駅まで送っていってあげるよ、と言ってくれたので、ありがたくご厚意に甘えました!おじさんのバンに飛び乗り、一夜の宿に別れを告げ、小さな町へと向かいました。
駅へ行く途中で、おじさんの友達がやっているパン屋さんに寄らせてもらいました。嗚呼、この、香ばしいパンとバンズの香りときたら!!!(どれだけ私がドイツの焼き立てパンに飢えているか、分かってもらえますよね?)旅の終わりも、これでカンペキです。
またいつか、他の季節に来たいな〜
駅で私たちを降ろすと、おじさんは帰り道の安全を祈ってくれました。どうやって帰ろうか調べてみると、あと数分で(!)高速バスが出ることがわかったので、それで東京に帰ることにしました。
ここまでお読みいただいてきたとおり、この旅が最後まですばらしい巡り合わせだったことに、うれしい驚きを感じています。
最初は、どこに行くのか、何があるのかも、そもそも行く価値があるのかすら、よく分からないくらいでした。
行ってきた今なら言えます、そう、価値ある旅でした。なんでもきちんと必要なものが揃っているような、ありきたりのホテルに泊まるより、独特の来歴と個性があって、そのお宅ならではのやり方で過ごすような、日本の伝統的な古民家に泊まれて、私たちラッキーだった!って思います。このお家では、たくさん得るものがありましたから。ここでしかできない体験、小さな冒険… そして何より、この世界のどこか、日本のような、遠く離れて安らかな場所での暮らしについての、深い理解です。