2018.07.03

有機農業や地方移住に興味があるなら一度は行きたい「福島東和地区」を楽しむための4スポット(前編)

2018.07.03

有機農業や地方移住に興味があるなら一度は行きたい「福島東和地区」を楽しむための4スポット(前編)

【取材レポート】福島県二本松市にある東和(とうわ)地区は、「有機農業の里」として知られる人口約6,500 の里山です。そんなのどかな里山・東和の魅力は、景色や歴史にとどまらず、この地域で生まれる「ドラマの多さ」にあります。

 

震災後、酒好きの農家のおやじたちの意識が高まりすぎてワイナリーをDIYし、完成したワインが、JALの機内誌でピックアップされたり、一泊30万円以上する豪華寝台列車で「福島県産ワイン代表」として提供されたりするわ、

国の補助金を使わず、地域住民がお金を出し合って専門の施設を作り、めちゃめちゃ研究を重ねないとできない「臭いがない堆肥」を完成させ、それを地元農家の人たちに使ってもらうことで「有機農業の里」ブランドをゆるぎないものにするわ、

直売所では、「自分たちで生産したものを、自分たちで売る」をモットーに、全国流通されているものは取り扱わず、この地域で作られたものだけを販売。加工品にいたっては商品の開発から流通まで自分たちで手がけるわ、

震災後の風評被害がひどかったときには、「行政が動かなくても、自分たちでこの里山を守る!」と、有識者を呼び、放射能についての知識をつけたり、直売所に機械を導入して放射能検査を実施したりして、結果的に震災前より売上を伸ばすことに成功するわ……、

 

とにかく、住民たちがポジティブでパワフルなんです。だから、そこには挑戦が生まれ、ドラマが生まれる。

彼らが前向きに進み続ける背景のひとつには、「地域のつながりの濃さ」があります。とはいえ排他的なものではなく、新しいものを取り入れるオープンマインドも持ち合わせています。地域の未来を担う、新規就農者へのフォロー体制にもぬかりはありません。

だからこそ、有機農業に興味がある人だけでなく、地方移住を考えている人にはぜひ一度訪れてほしい地でもあるのです。

 

前置きが長くなりましたが、今回は、そんな東和の魅力を知り楽しみ尽くすために、ぜひ訪れ、体験してほしいことを4点紹介したいと思います。

それぞれ遠くて車で20分ほどの範囲内に凝縮されているため、1日で巡ることができます。

また、東和地区は、東京から車で3時間、福島駅から車で30分〜1時間ほどで行けるので、

・昼前に到着して「東和季の子工房」で野菜いっぱいのランチを楽しみ、

・道の駅で、ここでしか買えない土産を手に入れ、

・ワイナリーを見学して農家のおやじの夢を聞き、

・農家民宿に一泊し、東和の現状や歴史について語り合う

コースがオススメです。

 

◼︎なめこ農家が営むレストラン「東和季の子工房」

東和で食事を楽しむなら、完全予約制の農家レストラン「東和季の子工房」がオススメ。とれたての有機野菜を使ったイタリアン料理のコースメニューです。

ソースにアスパラを贅沢に使ったパスタなど、どれもこれも頰が落ちるくらい美味しいのですが……、なかでも嬉しかったのは、なめこを使った料理!

 

実は、「東和季の子工房」を営む武藤さん一家の本業はなめこ農家。新鮮でプリプリななめこを使ったフリットやピザは、ここでしか味わえない一品です。

料理を作るのは、長男の洋平さん(右は妻の香織さん)。福島県内の調理学校を出て、東京のフレンチレストランで修行を積み、ふるさとに帰ってきたそうです。

本業が農家&家族経営のため、訪れる際には、3日前までに電話予約が必要です(電話:0243-46-2166 / 武藤)。

 

◼︎全国流通の商品は置かない、こだわりの直売所

「自分たちで生産したものを、自分たちで売る」がモットーの直売所は、道の駅 ふくしま東和あぶくま館内にあります。

 

店内には、野菜はもちろん、パンやお菓子、お酒まで、ありとあらゆる“地元産の商品”が揃います。全国流通、大量生産の商品は見当たりません。

 

また、それぞれの商品には生産者の名前が記載されています。これにより、生産者にファンがつき、それが次に商品を作る張り合いとなり、好循環が生まれるそう。

 

入り口を入るとすぐに、特産品の「桑」を使用した加工品のコーナーがあり、メイン商品の「桑茶」を飲むことができます。緑茶よりも苦味が少なく、まろやかなお味。

 

併設するジェラート店では、桑の実味や、桑の葉味など、この地域ならではのジェラートを楽しめます。こういったオリジナル製品はそれぞれ、現場を巻き込んで企画開発を行っているそう。

 

また、野菜に貼ってある「東和げんき野菜」のシールは、一定の基準をクリアすれば貼ることができる、東和のブランドを保証する目印です。その基準は「東和げんき野菜 6つの約束」といい、店内にも貼りだされているので、訪れた際には見つけて読んでみてください。

 

<東和げんき野菜 6つの約束>

  1. 畑の土の検査
  2. げんき堆肥使用
  3. 農薬は極力使わない
  4. 栽培履歴を記録する
  5. 硝酸イオン残留量を確認する(葉物野菜のみ)
  6. 放射能を測定する

 


後編へ続きます)

STAY JAPANで東和地区に民泊してみませんか?

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